高層都市の無用バルコニー
『超芸術トマソン(p. 460-462)』、『トマソン大図鑑 空の巻(p. 330-331)』で報告されていた無用バルコニー/純粋踊り場を見学しました。
調査報告に発見日 1986年 2月 3日(発見者/鈴木氏)と記載があるので、トマソン発見から 32年の歳月が経ちこれほど長期に保存されているトマソンは貴重。
『超芸術トマソン(p. 461)』にはバルコニーを正面から撮った写真が掲載されていましたが、現在は隣接して建物が建っているため同じアングルで眺めることはできませんでした。
トマソン報告書では、1階から4階までのバルコニーの役割が不明とされているのですが、使用目的について考察してみました。
現物のトマソン物件を観察してみると、9階、8階、7階のバルコニーには扉が付いているのが見え、その扉はその階のベランダに通じているようです。また、6階はマンション正面のバルコニーに避難ハッチがついているので下の5階に降りることができ、5階からは壁を乗り越えてバルコニーに移動できます。
つまり、このバルコニーは高層階住人の避難用バルコニーだと思われます。途中から梯子が付いていないのは、防犯目的で下から登れないようにするためではないかと想像します。
なお、この建物は10階建であり一番下のバルコニーは2階にあるので、本文中にある「九階建の建物(p. 462)」「一〜四階のバルコニーの使用方法不明(p. 462)」は階数の誤認だと思われますが、当記事内の階数表示は『超芸術トマソン』の表記に合わせています。
2018年 9月 東京都渋谷区、代々木にて